ChatGPT で仕事がなくなるのは、進化を諦めた人だけ

生成AIのChatGPTを開発したアメリカのベンチャー企業「オープンAI」は、サム・アルトマンCEOが退任すると発表しました。事実上の解任とみられていて、アメリカのメディアは、背景にアルトマン氏と取締役会との内紛の可能性があると伝えています。

NHK NEWS WEB

ChatGPT でまさかの開発者が仕事を失う事態になっているわけですが、これ、どうなんでしょうね。共同創業者のグレッグ・ブロックマンも後を追うように退社したとのことで、OpenAI 自体の今後に陰りが出てきたように感じました。

とはいえ、生成 AI は各社がこぞって開発を進めています。Google Bard もそうですし、イーロン・マスクも「AI は危険だ!」といってる傍から別のAIの会社に投資しているし、日本でもサイバーエージェントや NTT などが独自の生成 AI を作っているようです。

日本語に特化した AI はその需要の少なさ、それによる投資予算の規模から、やがて廃れていく気もしますが……

ChatGPT によってプログラマーの職は失われる、なんて話が初期の頃はよく聞かれたものでした。
そして「ChatGPT の台頭によって、将来プログラマーなどの職は失われてしまうのですか?」なんて質問は 2023 年現在でもチラホラと見かけます。

ChatGPT にそれほど深く触れたわけではありませんが、私は自分のビジネスにおいて ChatGPT を便利に活用させてもらっているので、それによる予想を書いてみたいと思います。

「プログラム」しか書けないプログラマーは職を失うかも

プログラムのほとんどは「突発的な例外処理をどうまとめ、いかに短時間で不具合・問題を解決するか」によるところが大きく、これについては現状の AI で代行することは難しいでしょう。

「デザインパターン」を重視し、一切プログラムを書けない「上流」と称したレイヤーの人々にはおそらく ChatGPT を使いこなすことができないだけでなく、ChatGPT に仕事を奪われるかもしれません。
実際に手を動かしていたプログラマーにとっては、ChatGPT は頼れる相棒になるでしょう。

AI は、ネットにある膨大なソースコードを元に学習しますが、現状新しいものを勝手に作り出してくれるわけではありません。
そのため、「こういうものを作ろう」というビジョンがある人、問題解決のためにビジョンを産み出せるプログラマーの仕事は、なくならないでしょう。

自ら何かを創り出す、仕事の利便性や、ライフスタイルの充実を底上げするアイデアを常に考える……そういうプログラマーにはむしろ追い風
反面サク〇ダファミリアを創り出してしまうような「実装を人任せ」にしてきた業界にとっては、ChatGPT の嘘を見抜けないなど、上手く機能させられなさそうです。

これからは「ChatGPT を使って業務の効率化を図れ(俺は知らんけど)」みたいな上司の下で仕事するのが、一番危険でストレスのある冒険になるのではないでしょうか。

コピーライター、ライターはプログラマーより危うい

これらの業種の場合、おそらくプログラマーよりも職を奪われる可能性が高いのではないでしょうか。

なぜなら、プログラムは「エラーや矛盾なく仕上げる最終工程」がありますが、日々更新される記事や情報は曖昧で、ほとんどの人が「わかった気になる」程度で済むからです。

CahtGPT は過去より蓄積された情報を元に、すごい速さでアイデアを提供してくれます。

ChatGPT4

実用的にするためにはもう少し質問を吟味する必要がありますが、10 個といわず 100 個でも無料で考えてくれるので、「コピーライターに(お金を)払う」価値はだいぶ下がってしまったように思います。

反面、コピーライトを考えるのは少し苦手だが、総合的に売り上げ増加に寄与できる人にとって、ChatGPT はとてもいい相棒です。

これはライターも同じです。ただ与えられた命題についての提灯記事を書くだけであれば、ChatGPT でいいような気がします。
例えば、最近話題になっているデスマフィンに関する記事を書いてもらいました。

ChatGPT はリアルタイムな情報にそれほど強くありませんが、「オーガニックというラベルが、必ずしも安全性や品質の高さを保証するものではない」など十分役に立つ情報を提供してくれます。
この ChatGPT の文をちょっと煽情的に加工すると、ニュースサイトの記事、出来上がり! という感じです。

誰でも簡単に記事を作れてしまうことを考えると、今後のライターの単価も下がってしまうのではないか……と思ってしまいます。

ただこれも、逆に考えれば「記事を書くなんて大変だ」と思ってた人たちにチャンスが訪れたとも言えます。
Web 記事は内容の正確さよりも更新頻度が重視されるので、

(例)不動産売買、管理に関する問題について1日1つ記事を投稿しよう! 不動産は広告単価が高いから、結構いけるかも?

人の手だけでこの条件を満たすのは困難ですが、ChatGPT の手を借りれば十分可能なアイデアじゃないでしょうか。

ChatGPT(生成 AI)と共存すること

「ChatGPT(生成AI) が出力しているレベルだけで、自分の仕事が完結している」人は職を失ってしまうかもしれません。

職が失われることについては、なにも今始まったことではなくこれまでの過去でもそうでした。
PCやWindowsが台頭するにしたがって、キーパンチャーと呼ばれる仕事は失われていきましたし、ネットの発達によって保険料集金人といった仕事も消えていきました。
工場のオートメーション化が進めば、単純作業しかできなかった工員は消えていきます。
今回の場合、生成 AI で置き換わる部分がその「単純作業」にあたります。

考えなくても手を動かせばいい、汗をかけばいい時代は終わった。そう考えると辛いのですが、見方を変えれば、生成 AI をうまく使いこなすことで自分の能力をブーストすることも可能になったとも言えるわけです。

寿司職人がなぜ 10 年の修行を必要としなくなったのでしょうか。
それはネットによって一見でも情報を得られるようになったからです。職人としての「気概」を満たすのに 10 年かかるかどうかは人次第、情報さえあれば1年と立たず追い付ける人もいた、ということです。

例えば今凄腕のコンサルタントがいたとします。「あらゆる情報」に精通している彼は、適切なタイミングで適切な助言の出来るエキスパートです。

でも、その「あらゆる情報」を 生成 AI で補完できるとしたらどうでしょうか。
コンサルタントを始めたばかりの人間が、勤めて2~3年の熟達した結果を出すことが出来る……そんなことだって不可能ではないのかもしれません。

そんな「情報」だけで語り、情報に踊らされるなんて、まっぴら。心が通ってない。

少し、そんな感傷に浸ってしまうこともあります。
でもこの感傷は「生成 AI のない時代を知っている人間だから」感じているだけであり、産まれたときから生成 AI に触れてきた人間には存在しない感傷でしょう。

ガス灯が電気に変わる時も、馬が車に変わる時も、写真が発明された時も、当時生きていた人たちは違和感を感じたり、元のままがいいと主張してきました。
デジタル出版より紙の方が味がある……なんていうのもそうですね。
産まれた時からデジタルが当たり前の子供に、その「味」は通用しないでしょう。

栄枯盛衰が示すように、今までもこれからも、新しいものが産まれ、それによって古いものが淘汰されていきます。
それを利用するかどうかは個人の判断ですが、いまのところ生成 AI は Google 検索や、Map のように非常に便利なものであり、仕事が失われるかビクビクする前に、自分の立ち位置を見直すいいキッカケなのではないかと思うようにしています。

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